コーヒー(Coffee)、カフェ(Cafe)という語は、いまでは世界的用語ですが、その語源はアラビア語のカフワ(Qahwah)が転訛したもの。
語源としては、元々カフワというのはアラビアでワインを意味し、ワインに似た覚醒作用のあるコーヒーにあてられたという説と、エチオピアにあったコーヒーの産地カファ (Kaffa) がアラビア語に取り入れられたという2つの説があります。
これがトルコに伝わり、トルコ語でカーファ(Kahue)となり、さらに転化してヨーロッパへ広まっていったのです。
一説にはエチオピアの町にカーファという所があって、これがカーファーの語源だともいわれていますが、これは語源としての信頼性にまったく欠けています。
日本の呼称
日本語の「珈琲」という語ですが、これは中国語から来たとか、蘭学者青木昆陽の作字だとかいう説もありますが、はっきりした確証はなく、どうも誰かのこしらえた当て字のようです。
当て字といえば、古い文献にはコーヒーのいろいろの当て字があり、江戸時代の俳人、大淀三千風(おおよどみちかぜ)は「日本行脚文集」(元禄2年・1689年)の中の「丸山艶文」というところで「皐蘆」(なんばんちゃ)と書いています。
有名なフランス人ヌール・ショメールの「家庭百科辞書」の訳本で、長崎の山本某が訳した日本最古の珈琲文献「紅毛本草」(天明5年・1785年)の文中に古闘比伊(こつひい)、波无(バン)、保宇(ぼう)、比由无那阿(びゆんなあ)、比由无古於(びゆんこお)、比由爾宇(びゆにう)などの語が使われています。いずれもコーヒーならびに豆のことです。
また、文化年間の洋学者宇田川榕菴(1798~1846年)の蘭和訳書には「骨喜」「哥兮」「架非」「珈琲」という4つの語が記載されており、このため珈琲は榕菴の作字ではないかともいわれています。
さらに明治に入ってからは、コーヒーの当て字も各種の書物に大流行で「可非」「架非」「骨非」「加非」「唐茶」「豆茶」「煎豆湯」「滑比」「香湯」と挙げるときりがありません。
その中で「可否」と名乗ったのが、明治21年、東京上野に開店した日本喫茶店第一号「可否茶館」(かひさかん)で、名づけ親は当時の作家石橋思案です。(※現在の可否茶館とは関係はありません)
参考文献「コーヒー教室」(有紀書房)
各国のコーヒーの呼称
アメリカ:コフィー (Coffee)
スウェーデン:カフェー (Kaffe)
ブラジル:カフェー(Cafe)
ノルウェー:カフェー (Kaffe)
イギリス:コフィー (Coffee)
トルコ:カーウェー (qahwe)
ドイツ:コフェー (Koffee)
ギリシャ:カフェオ (Kafeo)
フランス:カフェー (Cafe)
ポーランド:カーヴァ (Kawa)
イタリア:カフェー (Caffe)
ハンガリー:カーヴェー (Kave)
スペイン:カフェー (Cafe)
オーストリア:カーヴェー (Kave)
ポルトガル:カフェー (Cafe)
ルーマニア:カフェア (Kafea)
オランダ:コフィー (Koffie)
チェコ:カーヴァ (Kava)
デンマーク:コフェー (Koffe)
ソビエト:コフェー (Kophe)